2009年05月08日

ラス・カサスへの道 上野清士

 ラス・カサスはクリストバル・コロン(日本ではクリストファー・コ

ロンブスと呼ばれている)と同時代に生きたカトリックの司教。

 当時、スペインは新大陸にたどり着き(「発見」と言われるがもとも

とあったわけで、発見という表現そのものが西欧中心の史観として、1

992年、新大陸発見500年を祝った西欧に対してNO!と声を上げた

のが中南米諸国)先住民を虐殺し支配下に置き、搾取していた。その先

頭を走っていたのがクリストバル・コロンだった。そして「遅れた」先

住民を「進んだ」スペインに服従させるためにカトリックもまたその一

員として中南米で布教活動をした・ラス・カサスも当初はその使命で中

南米に赴くが、人間として先住民と接することで、目を開かされる。ス

ペイン人となんら変わりのない人間であるという、現代においては当然

の事実に。そして中年米で行っている行為を母国に伝え、虐殺を阻止し

ようと働きかけ続ける。もちろん本国では彼の意見は抹殺されるのだけ

れど。

 本文の一節が忘れられない。正確な文章ではないけれど、当時の支配

者だったスペイン人が先住民を感化させるために本国の「進んだ」文化

を押し付けようとゴシック調のカテドラルや建造物を作った。そして今

も一部それらは残っている。

 今でもスペインと中南米はかかわりが強く(だから今回の豚由来新型

インフルエンザでもヨーロッパではスペインの感染者が多い)、現代の

中南米の人たちがスペインを訪れることは多い。そしてスペインに残っ

ている文化遺産の素晴らしさに驚愕すると、同時に自国に作られたカテ

ドルがいかに貧弱なものであったかということに愕然とするという。

 自分たちの祖先がスペインによって散々踏みにじられた名残である。

いい加減なものを作って有難がらせ、そして支配していたという現実に

遭遇する。

 そんな意識が当たり前のスペイン人の中で、支配の一機関の一員とし

て派遣されたラスカサスが良心(宗教上からではないと私は思ってい

る)に気づき先住民側に身を置いてラテンアメリカを歩き回り、問題を

投げかけ続けた姿がこの本から伝わってくる。

 上野さんはラスカサスがたどった道を旅しながらラスカサスを現代に

生き生きと蘇らせてくれている。
posted by ほたる at 09:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 読んでみたら | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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