されていた。時々アクセスするNPO法人のサイトにド〜ンと彼
女の顔写真と理事長就任あいさつがあり、末尾に今年三月に退官
したとあった。なんとも感慨深いけれど、まだまだ彼女のエネル
ギーは退職後ののんびりした生活では持て余しそう・・・という
わけで在野の研究者としても今後の活動には期待したい。
この書籍は40歳を迎えた「フェミニズム」の歴史の流れの中、上
野さんが雑誌、冊子、新聞等に発表してきた文章を時に時系列に、
時にテーマごとにまとめている。
8年ほど前に彼女の講演会最後に彼女が「女性学年報」を手にし、
紹介して販売促進に貢献していた。彼女らしく「行商しています」
と口にしていたが、とても好感が持てた。
権威になることへの警告も彼女は自らの行動で示していたからこ
そ、行商をして下支えするのだということ。勘違いされがちなフェ
ミニズムと先頭を走り東大の大学院教授という肩書きがさらに彼女
に「権威」のラベルを貼ってしまう。
それでも、彼女はそれに抗し、行商もさりげなくやってのける。
もちろん聴衆は「東大教授が言っている」というマナザシでみてい
るのだけれど。
この本にも彼女が行商をした本意が記されていた。育てるのは何
年もかかるけれど、崩壊するのは一瞬。そうやってつぶれていった
モノは山ほどあるだけに、彼女は権威として物申す代わりに行商を
して支えたという。そんなこともさりげなく掲載されていて、概し
て硬い彼女の書籍とはちょっと違った感想も持てた。

